購入の流れ
不動産を買う時、買替える時は、さまざまな手続きが必要です。
まずは、不動産の購入目的や希望条件、また家族構成やライフスタイルなど、じっくり相談にのってくれる不動産業者を見つけることから始めます。
不動産を購入すると決めたら、自己資金やローン返済を見据えた上で、どれぐらいの物件が買えるのかを検討します。ここで大切なことは、希望条件に優先順位をつけることです。通勤や通学等の便、広さや間取り、日当たりなど、思いつくままに書き出して整理しておきましょう。
不動産の購入にあたっては、物件価格の他にも、税金などのさまざまな諸費用がかかります。一般的には、ローンで借りる金額と自己資金の合計から、諸費用を引いた残りが、購入可能な物件価格といわれています。
- ローン借入金額+自己資金=売買代金(購入可能な物件価格)+諸費用
- 購入する物件は新築か中古か、または取引形態(仲介、代理、業者売主)によっても費用は異なりますが、一般的には売買価格のほか、諸経費は売買価格の6~8%が目安です。
売買契約時
- 手付金(売買代金の10~20%程度、売買代金に充当)
- 印紙代(売買契約書やローン契約書に貼付する印紙代)
- 仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税)
引渡し時
- 残代金(手付金など支払い済みの代金を差引いた金額)
- 登記費用(登録免許税 → 登記に伴う税金で、購入時の所有権移転登記には固定資産税評価額の1%、ローンを借入れる時の抵当権設定登記には借入金額の0.4%+登記手数料 → 登記手続きの際の司法書士への報酬)
- 固定資産税等精算金(引渡し日をもって売主と精算)
- ローン諸費用(事務手数料、保証料など)
- 保険料(火災保険料など)
引渡し後
- 不動産取得税(住宅の場合、固定資産税評価額の3%)
- 固定資産税等(固定資産税評価額の1.4%が1年分)
- その他(リフォーム費用、引越し費用など)
価格帯や希望地域などをある程度決めておけば、物件探しもスムーズに進みます。ここで大切なことは、できるだけ多くの情報に目を通すことです。チラシ広告、物件情報誌、インターネット、イベントなどをフルに活用して、希望の物件を探します。
気になる物件があれば、不動産業者の案内により、すぐに現地に足を運んでみましょう。周辺の環境や交通機関、日当たりなど、チラシなどではわからない、いろいろな発見があるはずです。
物件の主なチェックポイント
- 敷地の状況はどうか
- 広さ、間取りが必要条件を満たしているか
- 基礎や躯体はしっかりしているか
- 建築後の年数と管理はどうか
- ローンは受けられるか など
周辺環境の主なチェックポイント
- 交通の利便性はどうか(駅までの所要時間・混雑状況など)
- 生活関連施設は充実しているか(公園・学校・病院など)
- 立地に問題はないか(商業地域・工業地域・埋立て地など)
- 日照に問題はないか
- 駐車場はあるか など
希望の物件が見つかったら、不動産業者へ購入の申込み、仲介を依頼します。
仲介は、「媒介契約書」を用いて締結されます。「媒介契約書」は、取引内容や不動産業者との権利や義務などを明らかにし、安全かつ確実な売買の成立を目的とした仲介を依頼するものです。
依頼を受けた不動産業者は、購入条件、代金支払方法、引渡し時期など、売主側と調整、交渉を行います。
契約条件が整ったら、不動産業者から購入物件に関する重要事項の説明を受けます。
重要事項説明とは、売買契約の締結に先立って、物件にかかわる重要事項を説明するものです。
これは宅地建物取引主任者の資格をもつ不動産業者が、「重要事項説明書」によって説明を行います。「重要事項説明書」には、物件の概要、権利関係、代金支払方法、万が一の契約解除の場合の規定などが記載されています。不明な点は必ず不動産業者に確認しましょう。
売主と売買契約を結び、当事者の権利や義務などを明らかにします。
売買契約は、「不動産売買契約書」を用いて締結されます。「不動産売買契約書」は、取引内容や当事者の権利や義務などを明らかにし、安全かつ確実な売買の成立を目的とするものです。売主と買主の双方が署名捺印し、買主が手付金を支払って契約が成立します。
売買契約時に用意するもの
- 印鑑(実印)
- 手付金
- 印紙代
- その他(ローン申し込み書類など)
契約を締結したら、以後は契約書の記載内容に基づいて権利や義務を履行することになります。義務に違反すると違約金の支払いが必要になる場合もありますので、不明な点は必ず不動産業者に確認しましょう。
売買契約締結後、残代金や必要書類など引渡しの準備をします。ローンをご利用になる場合は、借入れの手続きを行います。
ローンをご利用になる場合、ローンにはいくつかの種類があります。
公的融資
- 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)融資、年金・財形住宅融資、自治体融資など公的機関の融資です。低い金利で返済期間も可能などが特徴です。
民間融資
- 銀行や信用組合などの民間金融機関の融資です。公的融資に比べると、ローンの種類も多く、比較的借りやすいなどが特徴です。
その他
- お勤め先でも、住宅取得のための社内融資を用意されている場合があります。会社によって融資条件は異なりますが、民間融資よりも有利な条件で借りられるようです。
手付金など支払い済みの代金を差引いた残代金を支払い、物件の引渡しを受けます。
引渡しの流れ
- 登記申請書類の確認(立会い司法書士に所有権移転登記に必要な書類を確認してもらい、登記申請の代行を依頼します)
- 残代金の支払い(手付金など支払い済みの代金を差引いた残代金を支払います)
- 諸費用の支払い(登記費用、固定資産税等精算金、管理費等精算金などを支払います)
- 関係書類等の授受(鍵、建築確認通知書、検査済証、建物図面、管理規約、パンフレット、付帯設備の保証書や取扱説明書などを受取ります)
引渡し時に用意するもの
- 身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポートなど、本人確認ができるもの)
- 印鑑(印鑑登録のしてあるもの、実印)
- 印鑑登録証明書(抵当権設定登記時に必要、交付後3ヶ月以内のもの)
- 住民票謄本(所有権移転登記時に必要、交付後3ヶ月以内のもの)
- 残代金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 固定資産税精算金、管理費等精算金など
引渡し後のトラブルを未然に防ぐため、売主と買主双方で、物件の状態についての最終確認を行います。
- 付帯設備及び状態確認書の記載内容と物件の状態との確認
- 隣地との境界の明示
- 電気、ガス、水道の使用方法、故障時の連絡先の引き継ぎなど
所有権移転登記の申請を司法書士に依頼します。
- 登記とは、一定の事項を広く公示するために、公開された帳簿に記載することを意味します。その目的は取引の安全を保護することですが、不動産取引においては、登記の手続きは司法書士に依頼します。依頼を受けた司法書士は、必要書類を預かって登記の申請書を作成し、法務局に提出します。
- 登記識別情報(旧登記済権利証)を受け取ったら、再発行されませんので紛失や破損などがないよう注意して保管しましょう。